ネコの怪物君は影の中に消えしばらくすると、
大きな袋をくわえて再び影の中から姿をあらわしました。
「やや!こ…これはボクの大好物のスパゲティとピザ!う…うまそう!!」
よくみるとそれはもっとも有名な三ツ星レストランで出されている料理でした。
たくさんの豪華な料理をタカヒロの前におくと、
ネコの怪物君は大きな体を小さくして姿を消しました。
タカヒロはネコの怪物君に心から感謝すると、
床に倒れている養母に水を少しずつ口にふくませ介抱しました。
「う…う…うん!?」
「気がついた? 母上、これを見てください!たくさんのご馳走ですよ!!」
養母は不思議そうに首をかしげます。
「ネコの怪物君がもってきてくれたんだ!さぁ、いっしょに食べよう!!」
養母は豪華な料理の山をみてビックリ!
「た…タカヒロ…絶対にウソをついちゃいけないってあれほど言っているのに…
こんな人様のものを盗んできて、それをネコが持ってきたなんて…あまりにひどい。
私はお腹がすいていても、一切口にしないよ!」
「母上…ボクがこんなたくさんの豪華な料理を盗んできたと!?」
「見なかったことにするから早く返しておいでっ!!」
「…よく見てよ、こんなにたくさんあるんだよ…」
山のようにある料理をタカヒロ1人で盗めるはずもなく
しばらく考えこむと養母は不思議そうな顔をしました。
「とにかく母上、まずは食べないとボクたちがもちませんよ!
固いことはいったん抜きにして、とにかく食べて元気をつけましょう。
話はそれからからでも…」
2人はおそるおそるご馳走を口に運ぶと、
美味しい美味しいと言って喜んで食べました。
生まれて初めて口にするご馳走ばかりで、幸せな気持ちになりました。
(ネコの怪物君は一体どこからこんなに美味しいものを持ってきたんだろう…)
2人はろくにまともな食事をしていなかったので、お腹が悲鳴をあげるまで食べました。
料理は明日のぶんまで残るほどでした。
2人は手を合わせ、心からネコの怪物君に感謝するのでした。