第117話 本当に大切な物

タカヒロは食事をやめ、真っ暗闇の中をネコを探してようやく山の中で、ネコをみつかけたのです。どうもよそからやって来たネコたちにボコボコにされたようでした。死にかけておりすぐに手当てをして家につれて戻りました。

タカヒロがおそるおそる玄関をあけると、養母は食事をせず無表情でした。 ネコを見つけてきてすぐに治療をしたいとタカヒロがいうと、養母はやっと口をきいてくれました。 その間何も言わなかったけどこれほどこたえたこと、そして学ばされたことはありませんでした。

長く深い沈黙のなかで、ミアにはじめてあったときから死に至るまでを思い出し、タカヒロはミアが命にかえてもそして魂となってからずっと伝えたかったことが何か感じることができました。 「…そうか……言葉じゃない…ずっと君からあふれていたもの。

いつも不思議だった、どうしてそばにいると元気になるのか。勇気がわいてきてどんな困難にもたちむかえるのか…悲しいときも明日を心から信じられるのか…」 ネコにしか興味がないタカヒロにはまったく初めての経験でした。ミアにずっとあったもの。それは思いやりでした。

声が聞こえない沈黙のなかで感じたのも、それは彼女の人びとへの深い愛でした。 「ミアは消えたとしても、今もどこかでこの世界や多くの人たちのことを心配してくれいる。見落としていた、本当に大切なものは空気とおんなじでいつもすぐ近くにあってそのことに気づかないものなんだ。

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