タカヒロは新しいメロディーによって、今ある世界が終わることは望みませんでした。 自分が新しい世界の創造主になるよりも、今の世界がこのまま続いてほしいのです。 生まれてすぐに捨てられ、ネコ屋の養父と養母に育てられ、ミアと出会って結婚できた今の世界が心から好きでした。
タカヒロは創造主としてではなく一人の人間としてただ、今の世界に未来を託したかったのです。 そのとき、1匹のネコが天から降りてきてタカヒロの前にあらわれました。 「あ、あなたは…あの時の…」 「そう、わたしは時間の中に生きるネコ。時間の管理をすることで世界を守ってきました。
しかし今、古い世界がおわり新しい世界が生まれるこの時、新しい世界の創造主となるあなた様にオーダーをうかがいにまいりました。どうぞ、このわたくしめにあなた様の理想とする世界のビジョンを語っていただきたいのです」 ネコは両手両足をついてかしこまりました。 「ビジョン!?…」
聞いたことのない難しい言葉をきいて、タカヒロは頭が真っ白になりました。 「実は…新しい世界なんてこれっぽちも興味がない…おそらくミアもそうだと思う。今の世界がずっとこれからもつづいてほしい。みんなのためにも…」
「タカヒロ、残念ながら世界をもう元に戻すことはもうできません。世界は進化発展しなくてはいけないのです。時は未来に進みますが過去には絶対に戻れません。黄金の竪琴はあなたとミアが奏でた新たなメロディーをとりこみ、新しい世界の創造にとりかかりました。