タカヒロは黒真珠をもって家を出ると、ネコがたむろする空き地をぬけ
ウンコとオシッコの強烈な臭いがする牧場にやってきました。
牧場では家族総出で牛の出産に血眼になっており、
タカヒロはその後ろこっそり通って
たくさんの豚がひしめく檻の前で立ち止まりました。
「よ~し!」
タカヒロは黒々しんじゅをとりだすと、豚の目の前にさしだします。
「ブーーー!!!」
豚はエサとおもい、タカヒロの手ごと口に入れ、
ムシャムシャするとすぐにゴクンと飲み込んでしまいました。
タカヒロは寸前のところで手をひきぬいて、ほっと胸をなでおろします。
「危ない危ない…でも、これで安心だ!」
しばらく様子をみて周りに人がいないことを確認すると
タカヒロはやっと家に帰ることにしました。
養母はタカヒロがどこに行ってきたのか、
服にしみついた強烈な悪臭からだいたいの見当がつきました。
「私はお前に何もきかないよ。お前が決めたことだからね。
さぁ早くその服を脱いでお風呂に入ってきなさい。
ていねいに洗って匂いを消さないと、家の中がたいへんなことになるからね…」
こうしてタカヒロは1週間に1度はきまって牧場をたずね、
豚のようすをみて元気にしているか確かめてから、
公園や空き地で野良ネコとあそぶようになりました。