第13話 豚に黒々しんじゅ

タカヒロの冒険 豚に黒々しんじゅ タカヒロと黒々しんじゅ
豚に黒々しんじゅ

タカヒロは黒真珠をもって家を出ると、ネコがたむろする空き地をぬけ
ウンコとオシッコの強烈な臭いがする牧場にやってきました。

牧場では家族総出で牛の出産に血眼になっており、
タカヒロはその後ろこっそり通って
たくさんの豚がひしめく檻の前で立ち止まりました。

「よ~し!」

タカヒロは黒々しんじゅをとりだすと、豚の目の前にさしだします。

「ブーーー!!!」

豚はエサとおもい、タカヒロの手ごと口に入れ、
ムシャムシャするとすぐにゴクンと飲み込んでしまいました。
タカヒロは寸前のところで手をひきぬいて、ほっと胸をなでおろします。

「危ない危ない…でも、これで安心だ!」

しばらく様子をみて周りに人がいないことを確認すると
タカヒロはやっと家に帰ることにしました。

養母はタカヒロがどこに行ってきたのか、
服にしみついた強烈な悪臭からだいたいの見当がつきました。

「私はお前に何もきかないよ。お前が決めたことだからね。
 さぁ早くその服を脱いでお風呂に入ってきなさい。
 ていねいに洗って匂いを消さないと、家の中がたいへんなことになるからね…」

こうしてタカヒロは1週間に1度はきまって牧場をたずね、
豚のようすをみて元気にしているか確かめてから、
公園や空き地で野良ネコとあそぶようになりました。

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