お姫さまと結婚したいというタカヒロ。
その気持ちを王様に伝えてくれるのは養母以外にいません。
「もし私が王様に会えたとしても
王様が喜んでくださるすばらしいプレゼントをお前は持っているのかい?」
「あぁ、そうか…身分が違う場合、話を聞いてもらうには高価な物がいるんだね。
…それなら1つありますよ!とてもすばらしい物が……そう、あれです!」
そういうとタカヒロは家をとびだし、
すぐに黒々しんじゅを手に戻ってきました。
「王様にプレゼントするものはこれ以外にありません。
これなら王様はきっと喜んで母上の話に耳をかたむけてくれるはずです。
何せ、この宝石は最高の宝石というだけでなく布でこすると、
ネコの怪物君があらわれ何でも願いをきいてくれるんですから」
黒々しんじゅを見つめていると、その豊かな輝きに養母は目を奪われます。
「確かに…お前の言う通りかもしれない。でもね、
『お姫さまをください』とは口が裂けても言えないよ。
そんなことを口にしたら私もお前も捕まって殺されるよ」
「…そうか……ダメか…」
養母は言い過ぎてあわててフォローします。
「で、でも…とにかく行って王様にお会いしてみるのもいいね。
お顔を拝見すればどんな方かもわかるし、運が良ければお話できるかもね」
それを聞いてタカヒロの顔はパッと明るくなり、
ネコがキュウリをヘビと間違えたときのものマネをします。
養母がそっとタカヒロの後ろにキュウリを置くと、
タカヒロはゆっくりふりかえり二度見した後、屋根まで飛び上がります。
そのあまりのおかしさに養母は笑い転げました。