王様は情け深い方だったので、
「アハハハハハ」と笑ってくれました。
「女よ、お主とてもおもしろいのー。
毎日堅苦しい話で退屈していたのだ。
余も何かお礼をせねばのー」
王様はお尻をつきだすと、プーとおならをしました。
養母は笑っていいのかわからず聞こえないふりをするしかありません。
やがて王様はポケットから100ドル札をとりだし、
「これが余の飼っておるプードルじゃ。ご挨拶は?
ウ~~~ワンワンワン」
と、紙幣をプードルのように動かしたのです。
大柄でイケメンの側近は無表情でしたが、
養母はクスクス笑って王様とうちとけることができました。
「女よ、気分もほぐれたであろう…さぁ申すがよい」
「はい、大王様どうか怒らずにきいて下さいませ。実は…」
養母は一人息子のタカヒロがお姫さまを一目見て夢中になり、
食事も手につかず1日中ボーっとしていること。
そして、大変厚かましいことに結婚を望んでいることを申し上げました。
「タカヒロの想いはそれは大変なものでして、
望みがかなわないなら死ぬとまで申します。
たいへん厚かましいお願いですが、
どうぞいつくしみ深い御心をもってお許しください」
養母の話を聞いて王様はニッコリ微笑みました。
「ところで、先からずっと大事そうに抱えているその包みは何かね?」
養母は王様がお怒りになるどころか穏やかに話してくれたので、
おそるおそる黒真珠を王様の前に差し出します。
するとたちまち、
謁見の間はまるで深い海の底に沈んだように暗くなりました。
王様はその不思議な現象に肝をつぶします。
うすい暗闇の中でさらに黒く輝くその様は言葉では言いあらわせません。