「生まれてこのかた、このような宝石は1度も見たことがない。
何という美しさじゃ!大臣これはいったい何という宝石じゃ?」
隣の部屋から高価な衣装に身を包んだ大臣があらわれ、
養母が差し出した宝石におそるおそる近づきます。
「残念ながら王様……
このような宝石は我が国だけでなく他国をさがしてもございますまい」
「うむ…このような素晴らしい宝石をもつタカヒロという者こそ、
ミア姫の相手にふさわしいかもしれん」
この言葉を背後で聞いていた大柄のイケメン側近は顔をゆがめました。
「王様、お姫さまはこの私、
ガオタイガーにくださるというお約束でした…お忘れですか?」
「忘れてはおらぬ、しかし…」
「この女をよくご覧ください。
町の人々の中でもっともみすぼらしい身なりをしております。
あまりにも身の程知らず。親が親なら子も子というもの。
ゆえに、親子ともども貧しく卑しい身分だと思われます。
王様、即刻この女を追い払いましょう。
どこの馬の骨とも分からぬ輩など相手にしないことです」
「…しかし姫と結婚するにふさわしい候補者があらわれたのじゃ。
どうしたものか…」
そこでさきほどの大臣が提案します。
「王様!ガオタイガー様とこの女のせがれを競わせてはいかがかと?
国を治めるために必要とされる3つの試練で、
どちらがミア姫さまの夫そして次の国王としてふさわしいか試すのです」
「ふむ…それは良い考えじゃ。姫にも伝えよ。
これより3日後、正式な姫の結婚相手を決めるための試練を行う。
この試練を見事にクリアしたものに余の姫を与える」
「女よ、帰ってお主の息子に伝えよ。
姫を与えるチャンスをやるとな。ただし、
この試練は命がけで行われるため途中でとりやめたり辞退できぬぞ」