第53話 時間の使い方

タカヒロは目を開けると、不思議そうな顔であたりをみわたします。 「よかったー!あの子は死んでいないよ…無事だよ、ホラあんたもご覧!!」 顔をおおい指のすきまからおそるおそるみていた養母は元気になったタカヒロに歓喜すると、それをみせてあげようとネコを抱え上げてあげました。

ところがネコは、養母に踏まれたときに首を捻挫して後ろを向いたままだったため、後ろの席のおじさんのドアップの顔に驚き、「ピャーーー!」と声を上げどこかへ行ってしまいました。 「そ、そうだった………ネコは首を捻挫してたんだったよ。私としたことが…悪いことをしてしまったね…」

「す、すごい…なんなんだ…この力は……」 (そ、そうかあの時ネコに授かったボクの力は、命が危険になればなるほどボクの時間が激しくのびちぢみするんだ。それで今みたいに死ぬ寸前になると時間が加速度的にすすんで自然治癒力で治ったんだ。なんてすばらしい力なんだろう) 「わかる、わかる。あのネコさんから授かった特別な力が守ってくれたんだ。どうもありがとう」

「時間にこんな便利な使い方ができることを知らなかった。時間の使い方を身につけると、どんな人でも成功者になれると母上がいっていたけど…まさかこんなにも心の底からとてつもない自信があふれてくるんだね」 タカヒロははじめてガオタイガーのまともに目をみつめました。 「お前がボクの本当の力を目覚めさせてくれた。さぁ、本当の勝負はこれからだ!!」

興奮してのどがかわいた王様はグラスに口をつけ水をふくみました。そして、隣のミア姫のきれいな横顔をながめられました。 (ガオタイガーの圧倒的な力は底がしれぬが、あの貧乏人のせがれの力も得体がしれぬ。はたしてこの勝負どちらが生きのこることやら…我が娘ミアよ、しかと見届けておくのじゃぞ)

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