(もしタカヒロが死んでいたとしたら、
マスターキーの1つは完全に失われたことになる。
つまりこの世界のどこかに、ほころびや欠陥が生じているはず!
とくにタカヒロの黒々しんじゅは時間の流れから富・お金・財産をうみだすもの。
だとすると、世界中で大恐慌が起きてパニックになっているはずだ!
しかし、世界のどこにもそんな兆候はない。ど、どういうことだ!?)
魔王使いは気を取り直すと、
こんどはタカヒロの死と黒しんじゅのことを占ってみました。
炎の形を注意深くみていたら、なんと
黒々しんじゅは仮想世界ではなくこちらの世界にあることがわかります。
激怒のあまり魔王使いは気を失いそうになります。
「…い、いったい誰だ!?俺がこの生涯だけでなく
2度の前世のすべてをかけてさがしてきたものを横取りしたというのだ!!!」
たき火をけとばしバラバラにすると、
今度はタカヒロがどうなっているかを占ってみました。
新たに薪をくべ、ふたたび炎を見つめます。
「あ、あいつ……生きている!
それも、ものすごく元気でこれから人生の絶頂をむかえようとしている。
なんてことだ、あいつは黒々しんじゅを手にいれて仮想世界を抜けだしたんだ。
だしぬいたつもりが、逆にあいつにだしぬかれていたとは!!」
魔王使いははらわたが煮えくりかえり、
呪いの力でタカヒロを殺してやろうと思いました。
「あいつに俺の気持ちはわかるまい。
俺がどれほど黒々しんじゅを欲しいのかわかるまい。
お前を呪い殺すことくらいわけないぞ!
お、お、おもいしれいーーーっ!!!」