「おや、あなたはタカヒロ王子のことを知っているようだけど、
それは昔の話だよ。今は立派な王子になられて、
見かけによらずなかなかの王子だってうわさだよ。
それに今の王様が退位を決断され…もう1週間ほどで
タカヒロ王子が正式に王様になることが決まったんだ。
あんた、それ知らないだろう?」
「ぜひ、その新しいタカヒロ王様の就任式に参加したいものです……
ひとつお城までご案内いただけないもんでしょうか?…
この町はなにぶん久しぶりなもので町並みもずいぶん変わったようなので……」
「お安いご用だよ」
こう答えてフロントの男はお城まで連れていってくれました。
魔王使いは第一のマスターキーである黒々しんじゅが
近々第二のマスターキーの秘密を解き明かすことと、
タカヒロが正式に王様になることがどこかつながっていることを感じていました。
(ちくしょうめ!ろくろく飯も食えなかった、
甲斐性なしのネコ屋の小人めがっ!
あの程度の頭でもっとも繁栄している国の王になるだと……
そんなファンタジーみたいなことがあってたまるものかっ!!
呪い殺してやる!!
あいつの養母も石や砂を食って生きる元の身分に落としてやるぞ!!)
魔王使いのまわりが黒ずむほどのどす黒い執念!
黒ずんだ空間にタバコをちかづけると黒い炎がつき、
タバコが燃えつきた灰で文字をかきだします。
それは黒々しんじゅがお城の宮殿にあること、
そしてタカヒロは自らもっていないことを教えてくれました。
魔王使いは、「しめた!」と手をうって喜ぶと
ある名案がうかびました。