「ミア姫さまか…
まるでネコの鳴き声みたいでいい名前だな…うんうん。
王様って会ったことないけど… 母上、僕ミア姫さまと結婚したい!」
養母はゴロゴロしていたネコにけつまづいて転倒しました。
起きあがると、叫ぶようにいったのです。
「じょ、冗談じゃないよタカヒロ!
お前ちょっと頭をぶつけておかしくなったんじゃないのかい。
しっかりおし、そんな夢みたいなこと言わないでおくれ。
ミア姫さまは代々の王家の中でもとびぬけてお美しいお方なんだよ。
今年は結婚適齢期を迎えられて、聖地巡礼の旅に出たと聞いていたけど、
無事おかえりになってもお前が惚れたら迷惑だし失礼じゃないか。
そもそも、いい娘はそこら中にいるんだからあきらめなさい!」
「母上ボクは本気です。母上が何と言われようとボクは姫さまと結婚します」
タカヒロがこう答えると、いつもゴロゴロしているネコが
ドアのすきまからあわてて逃げていきました。
「どうかそんな大それたことを言うのはやめておくれ。
ミア姫さまがいったいどんな暮しをされているか…
そもそも私たちとは住む世界が違うんだよ。
それに一体だれがお前の気持ちを王様に届けるのさ?」
養母は顔をクシャクシャにして今にも泣きそうです。
「せっかく母上がいるのに、どうして他の人に任せなくちゃいけないの?
ボクは母上以上にに信頼できる人はいません。
だから、どうか母上からボクのお願いを王様に届けてほしいんだ!」
「まぁ……なんて大それたことを…
私まで頭がおかしくなってしまいそうだわ…」