タカヒロは自分がネコだったらどれだけ良かったろうと思いました。
すぐにこの場所から逃げ出したかったからです。
額からの脂汗がとまりません。
ぬぐってもぬぐってもしたたる脂汗。
制限時間は残り1分をきりタカヒロは限界でした。
(…悩んでいても答えは出ないしもう時間だ!
せっかくこのような機会を与えてくれた王様とミア姫さまに
何も答えないのはあまりに失礼だ!)
それでタカヒロは正直に
「正しい道は分かりません!」と答えることにしたのです。
一生人からバカにされる。
そう思うと手が震えます。
(しかし、初代の王様がもしボクのように答えが分からなかったら
どうするんだろう!?最後はどっちの道に進むんだろう??)
そう考えた時でした。
脂汗がピタリと止まり、頭がゆるやかに回りはじめます。
(そ、そうか!王様になるくらい偉い人だったらきっと
人生とおんなじで道が分からないときは…まっすぐ進むんだ!!)
王様が立ち上がりました。
「時間である。ただ今をもって解答をしめき……」
「ハイ!ハイ!!」
興奮のあまりタカヒロは手をあげると、
ネコが飼い主に飛びつくように王様にとびかかってしまいました。
「いだぁ!!な、なんじゃお主!余の耳に何をする!?」
タカヒロは王様の耳にもぞもぞ口を近づけました。
「な、なになに…よく聞きとれん。ゆ、ゆっくり話すのじゃ。
……『王様の耳は…ロバの耳?それとも…でっかくなっちゃった…の耳…ですか?』
ほっとけ! 早く答えを言わんと失格にするぞ。
…ふむふむ…ホホオ…それで……ハハハ…フフフ…
よろしいそれがお主の答えじゃな…下がってよろしい」
ガオタイガーはあきれました。
「フン、焦って当てずっぽうに適当に答えたのだろう、バカめ!
いずれにしても俺様の勝ちだ!こんなに愉快なのは久しぶりだ。ハハハ」