意を決した初代王は、ついに鳥が止まっている道のまん中にある木の下をくぐり、
そのまままっすぐ進まれた。そうすることで、無事に森を抜けられたのだ」
静まりかえっていた会場から
「オーーー!!!」という大歓声があがると、
拍手が沸きおこりました。
「王家万歳!王家万歳!!王家万歳!!!」
負けを認められないガオタイガーはなおも食い下がります。
「王様!初代の王のことは分かりました。しかし、
このツルツル頭がそのような知恵を働かせたとはとても思えません!
こいつの答えはきっとまぐれです。
まぐれで正解でもそれが真に知恵ある者といえるでありましょうか?
そっこく勝ちを取り消すべきです!!」
王様は目をつむり頭をゆっくり左右にふりました。
「この知恵の試練もふくめ3つの試練はすべて
初代の王自らがお考えになられた王位継承のシステムである。
このシステムによって、この国は何百年も栄えつづけてきた。
私が判断を許されておるのは、
正しき答えを出せたものを勝者と認めることのみ。
答えにいたるまでのプロセスについては問われておらぬ。
残念だが、運も実力のうちということになる…よいな」
ガオタイガーのミスと人生に1度あるかないかの幸運が重なり、
タカヒロは第一試練を何とか勝利することができました。
鬼の形相で会場を後にするガオタイガー。
「ぐぬぬぬぬ……っ!」
(こ、こんなことがあってたまるか!
あんなに奴に…あんなに頭の悪いできそこないに…クッソォー!)
タカヒロは養母とネコのもとに駆けよります。
誰もまさかタカヒロが試練をクリアできるとは思っていなかった中、
養母は誰よりもタカヒロのポンコツぶりを分かっていたので、
早々に家にかえる準備をしてくらいでした。
しかし、息子がこんなに喜ぶ姿をはじめてみて
人目もはばからず泣き出してしまいました。