翌日、日がのぼりしばらくすると王様が謁見の間にあらわれました。
王様のうしろには白い服を着た従者が
クリスタルガラスに入った水差しをうやうやしくもってつづきます。
タカヒロとガオタイガーが王様の前にかしこまりました。
「さていよいよ第2の試練では、
そちたちが王にふさわしい真の勇気をもつも者か試す
だが、正直おぬしたちはまだ若く将来が楽しみなゆえ、
できれば辞退してもらいたいのじゃ。というのも………
この試練はヘタをすると2人とも死ぬことになる」
王様の話をきいたガオタイガーは言いました。
「失礼ですが王様、わたしは全てをなげうつ覚悟で
この試練にいどんでおります。死は怖くありません」
「お主はどうじゃ?タカヒロ」
「ミア姫さまと結婚できないのなら死は覚悟のうえです」
王様は2人の言葉を聞くと、従者に水差しをもってこさせました。
そして、自らグラスに水をなみなみと注いだのです。
「これはただの水ではない。
この国の北にひろがる死人しか行けない黄泉の国があるが、
その手前をながれる大河『三途の川』からくんできた水じゃ」
この水はいわゆる『末期の水(死に水)』といわれるもの。
この水を飲めば、誰でもすぐに死後の世界へ行ける特別な水なのじゃ。
どうしてこんな水をわざわざもってきたかわかるか?」
タカヒロはポカンとして不思議そうでした。
ガオタイガーは有名な貴族であるためすぐに理解しました。
「噂で聞いたことがある。
その水を飲んで死ななければ『人智を超えた特別な力』を授かると…
しかし、それはただの言い伝えかと…」