「うむ、この水を飲んで生きのこれば特別な力をえることができる。だが…」
水に王様はそっと指を近づけました。
すると水に触れた指先がどす黒くなって腐りはじめたのです。
「!!」
タカヒロとガオタイガーは驚きのあまり声を失います。
王様の指は生気をうしない半透明になったのです。
「このように、この水は生死の境にあるデッドラインをはるかに超えて、
生あるものに死をもたらす危険極まりない水である」
ゴクリとつばを飲み込んだタカヒロの顔は、
キュウリのように真っ青になりました。
「この水を飲んで死んだとき、ゆるぎない勇気の心と
それを支える精神力がなければたちまち黄泉の国へと導かれてしまう。
それを超えて、戻ってくることができれば
人間の力をはるかに超えた力を手に入れることができる」
「お、王様…」
タカヒロは震えながら手をあげました。
「王様は…その水を飲んだの…ですか…?」
王様はうなずきます。
「もちろん飲んだ。
国王として多くの民を治めるには特別な力が必要だからな…
しかし、たえきれず半分吐き出してしもうた。
そのため、人智を超えた力は少ししか得られなかった」
「今までの王のなかでこの水をすべて飲んだ方はいるのですか?」
ガオタイガーの問いに、王様は言葉を詰まらせました。
「ききたいか?………ガオタイガー」
「もしかして…最も偉大な初代の王だけですか?」
「これまで初代の王から余まで、
歴代の王はみなすべてこの水を飲んできた。
いずれもそなたたちと同じように
若くて体力も精神も充実しているときにかぎって。
しかし、すべて飲み干して生き返ったものは
………ひとりもしない……」
「!!」
タカヒロは驚きのあまりアゴがはずれました。