「ひとりも!?」
ガオタイガーは思わず立ちあがります。
「それはおかしい!
なぜならすべて飲んで生き残ったものがいないのに、
どうしてこの試練で特別な力を得られると分かるのですか?」
「いやそうではない。
この水を少しでも飲んで生き返ったなら相応の力は得られる。
つまり飲む者の器によって飲める量と得られる力が決まるのだ」
納得できないガオタイガーに、王様は自身の特別な力を見せたのです。
手をあげて空の彼方にある雲を手招きすると
晴れていた青空に黒い雲がかかり稲光とともに急に雨が降り出したのです。
「なるほど…あの水を飲めば確かに特別な力をさずかるようだ。
どういうカラクリか知らんが、リスクをとるだけの理由はあるわけだ。
おもしろい、オレ様は由緒ある名門貴族の家に生まれたオレだ。
きっと王になれる。オレはその器なんだ!こんな奴に負けるわけがない。
必ず生死のデッドラインとやらを超えて戻ってきてみせる!
そして人智を超えた特別な力をえて勝つのだ!!ハハハハハ」
ガオタイガーはグラスをつかみました。
「これをすべて飲み干し力を手に入れれば、
全世界を支配する最強の王になるのも夢じゃない」
王様は最後にたずねました。
「よいのか?ガオタイガー
死のラインをこえて戻らなければ、
お前は確実に死んでしまうことになるのだぞ」
「お言葉ですが、オレは誉れたかい貴族の血をうけつぐエリート。
必ずすべて飲み干しふたたび舞い戻ってみせます」
「うむ!そちはどうする?タカヒロ」
「もちろん、ボクも飲むさ!」