「夜が明けようとしている。
三途の川の水を飲んでもう丸一日苦しんでいる。
二人ともこのまま生き返ることなく死んでしまうかもしれぬ…」
王様は苦悶の表情をうかべました。
「王様!さきほどガオタイガー様もタカヒロ同様
心臓が完全に停止し体が腐りはじめております。
そのうえなぜか全身が黒くなって骨も粉々に…」
従者からもたらされた情報をきいた王様は天をあおぎました。
「あ…あぁ…やはりか…とりかしのつかぬうちに
早く水をはかせて助けるしかほかあるまい」
「はっ!」
従者がガオタイガーのお腹に手をかけると
「その必要はない!」
その手を払いのけガオタイガーが目を覚ましたのです。
「い、生き返った!ほ、本当に!?お戻りになられた!!」
「フン、ずいぶんみくびられたものだ!」
ガオガイガーは王様がいる謁見の間へ向かいました。
ガオタイガーをみて王様は顔をほころばせました。
「一滴も水を吐き出すことなくよくぞ生きて戻った。
見事じゃガオタイガーよ。早く傷の手当てを…」
「それにはおよびませぬ。デッドラインのはるか向こうで、
人の想像をはるかに超える底なしの力を手に入れてまいりました。
今ご覧に入れましょう」
ガオタイガーが目を閉じて全身に力をこめると
黒ずんでいた肌はあとは生まれたての赤ん坊のようになり、
バラバラだった骨もあっという間につながります。
そして、みるみる元のたくましい体に戻ったのです。
「か、体が…ま、まさか!?
水をすべて飲み干したことで得られる力がこれほどのものとは…」
それは王様の予想をはるかにこえる特別な力でした。