第43話 は???

「もしあなたがあの時何もしなければ、野良ネコという存在はあの時点で完全に消滅していました。このように会話の中に出てくることはもちろん、頭の中でイメージしたり考えたりすることもできなくなっていたのですよ」 「…!?…」 「この話はむずかしいのでこれくらいにしてと…」

ネコはタカヒロを手招きしました。 「あなたはネコの中でももっとも価値がないとみられている野良ネコを命をかけて助けてくれましたね。あなたのとった行動は野良ネコの存続と繁栄におおきく貢献しました。よってここにその功績をたたえるとともに感謝の気持ちから

人知を超えた特別な力をプレゼントします」 「人知を超えた特別な力!?そ…そうだった。ボクはそのためにがんばってたんだ。何だかしらないけどいつの間にか手に入ったぞ!ヤッター!!」 ところが、ネコはタカヒロの手をとり2本の前足でぎゅっとにぎりしめただけでした。 「…は…???」

「ネコにはネコなりのすぐれた所があります。それをぎゅっと集めて今あなたにお届けしました。この力はネコの精神そのものですから、この特別な力をあつかえるのはあなただけです。使う時が今にきますよ」 タカヒロはなんども自分の手をみつめましたが、手のひらがネコの手のようにぽっこりふくらんだだけでした。

「そろそろ戻らないと三途の川をわたりきってしまいます。さぁ私のしっぽに捕まってください」 そういうとネコはしっぽをゆらゆらさせました。 タカヒロがそれをつかむと、ネコはゆっくりと時間の中を歩きだし、やがて助走をつけて戻ってきた時間を一瞬のうちにとびこえて現在に戻ってきました。

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