手がネコのしっぽから離れると、タカヒロは落っこちました。 「うわぁぁぁぁーーー!ありがとうネコさーーーん!!」 「ずっとあなたを見守っていますよ」 そう言い残すとネコは時間の中へ戻っていきました。 タカヒロの死亡が確認されて丸1日半がすぎようとしていました。
白かった顔には青いカビがびっしりはえブルーチーズのようにほどよく腐っています。 養母とネコは何度も呼びかけますが、眠ったまま目を開けることはありません。 ちょうどそのころ、12時間前に死の淵からもどったガオタイガーは体重計にのっていました。
「水を飲む前とくらべ減るどころか、30キロも増えている。はっはっは!求めればすぐにそれに体が応える。まさにこれこそ自分が求めていたパワーだ!」 拳をにぎりしめると、空気が圧縮され爆発しましたが、それでもさらに力をこめると空気が凝縮され液体になって手から滴がこぼれるほどでした。
特別な力を手にしたガオタイガーは自分が理想とする最高の肉体をイメージによって手に入れたのです。 「やったぞ!これでオレは最高になったのだ!絶対にどんな奴にも負けん!」 「ガオ様、あのタカヒロという卑しい身分の男は死んで2日目をむかえようとしています。
もうしばらくすると完全に帰ってこれません。次期国王そしてミア姫さまはすべてガオ様のものですな!」 ガオタイガーのとりまきたちは、彼をとり囲んでみんなで大喜びました。 そのとき通路をはさんだタカヒロの控室からネコの叫び声があがります。 「!!」 何事かとガオタイガーの従者がかけつけると、そこには
タカヒロの手をとって喜ぶ養母の姿がありました。 「ま、まさか!?…そんな…」 目を覚ましたタカヒロに養母は顔をクシャクシャにして喜んでいたのですが、そのとき慌ててついベッドの下でうとうとしていたネコをうっかりふんづけてしまったのです。