ネコは養母のもとから逃げたペットのネコでした。ギックリ首によって頭が真後ろを向いたままでしたので、闘技場から逃げようとすればするほど逆に闘技場に来てしまったのでした。タカヒロがハッとした瞬間、 「邪魔だ!どけっーーー!!」 タカヒロの方へ後ろ向きに走ってきたネコは、ガオタイガーにお腹を思いっきり蹴とばされます。
ピクピクと体をけいれんさせ口から一筋の血が流れ出ると、苦しそうにタカヒロを見あげると白目をむいて動かなくなりました。 養母は顔を手で覆います。 ネコは恐ろしいガオタイガーから逃げようとしたものの、逆にガオタイガーの気分を損ない蹴り殺されたのです。
「ゆ…ゆ…ゆ…ゆるさ…ない…ネコを…ネコを…よくも…」 はじめて家につれてきたとき、あまりの粗末な家にネコはトイレだと思い、シャーとおしっこをして養母をビックリさせました。 はじめて出された食事が大根の煮たのにお米を少しふりかけたものだったため、1口たべてあまりのまずさに嘔吐しました。
それから1か月は日が沈み床につくと涙がとまらず、「オ~オ~」と泣き続けたほどの過酷な貧乏生活でした。 ようやく人並みの暮らしになったとき、タカヒロがお魚をあげるとあまりの美味しさに腰を抜かしました。 ネコは文句を言わず家でもせずともに暮らしてきたのです。苦楽を共にしてきた家族なのです。
タカヒロはショックのあまりひざをつくと、まるで体の半分がもぎ取られたようでした。 「ネコ!?…そうか、あのネコはキサマの…フフフ…できそこないの虫けらかと思ったぞ」 「ち…ちっきしょう!! ちきしょうーーー!!!!」 タカヒロは生まれて初めて感情が抑えられなくなって怒りを爆発させます。