とてつもない怒りに火が付いたことで眠っていた力が躍動しはじめたのです。 無意識のうちに限界をはるかに超える力をひきだすと、タカヒロの体からエネルギーがほとばしり、その代償として内臓や脳みそが透けて見えるほど体が半透明になっていきました。 「み、見ててくれよ!……お前のかたきとってやるからな!!」
「オレのサーベルはぜったいにくいとめられんっ!切り裂いてやる!!さっきのザコのようにくたばりやがれーーー!!!」 ガオタイガーはこの国をふくむ大地全体を真っ二つに切り裂くイメージを鮮明におもい浮かべると、さらなる力をサーベルにくわえます。 大剣はじょじょにタカヒロの手にくいこみあと数センチもすると手ごとタカヒロを真っ二つにする所まで侵入します。 体が半透明になり向こうが透けて見えるほど体中のエネルギーを使ったタカヒロは、ガオタイガーの力を受け止めるだけで精一杯。その力はしだいにピークを迎えじょじょに衰えてきました。 「ハァ…ハァ…ハァ……」 そのとき、亡くなったネコが後ろから自分をみつめているのを感じたのです。
ふりむくことはできなくても確かにそこにいる! あたりがキラキラ輝くような何とも言えない空気に包まれます。 あの世で特別な力を授かった時、ネコの神様が言いました。 『この力はネコの精神そのものですから、この特別な力をあつかえるのはあなただけです。使う時が今にきますよ』と。
ガオタイガーのサーベルにじょじょにおされ、タカヒロの手がもちこたえる限界に達した瞬間、サーベルの動きがピタリと止まると今度は逆にゆっくりとガオタイガーの方へ押し戻されてゆきます。
「くっ!…ば…ばかな…どうしてだ!?…力を、強い力をどんどん加えているのに押し返されるはずはないっ!!」 サーベルから伝わるイやな感触。 それはまるで力を加えれば加えるほど逆に反発する力が増していくバネのようでした。