「かしこまりました。目をつぶっている間に、ミア姫をつれてまいりますニャン」 一方、こちらはお城の中。 ミア姫さまは国に災いをもたらす不吉な黒々しんじゅをいったい誰がもってきたのかと怒りをおさえ大臣にたずねます。
ところが、黒々しんじゅはタカヒロがミア姫との結婚のチャンスを得るために差し出したことがわかったのです。 ミア姫さまは全身から力が抜け、立っていることができずその場に崩れ落ちました。 (ま…まさか…タカヒロが…… そ…そんな……)
ミア姫さまは王家以外の者が入ることができない亡き母の部屋に入ると、召使たちを外で待たせて「10分だけ一人にしてほしい」と言われ、中からカギを閉められました。 (…タ…タカヒロに限って、そのようなことが……) 幼いとき母を失った痛みと悲しみが胸をしめつけ息は浅くなり心臓がバクバクするのでした。
目から涙があふれ、胸のまえでにぎりしめた手は小刻みに震えます。 (お、お母様……) ミア姫さまは大好きな母の肖像画を見つめました。 (どうしたらいいのでしょう…また大好きな人を失って、わたしは思い出とともにとり残されるのでしょうか?…それがわたしに与えられた運命なのでしょうか?…お母様……)
答えが出ないまま10分がたち、国王代理の務めのために部屋を出ようされたとき、ミア姫さまはこつ然と姿を消したのです。 まったくネコの怪物君の言う通りでした。 魔王使いとミア姫さまはあっという間に、はるか遠く離れた砂漠のオアシスまで飛んでいったのです。