タカヒロがUSBメモリを頭に差し込み回すと、
頭がスッキリしておじが言ったことをすべて思い出したのです。
そのため、おじがいったことを何から何まで
完璧にやってしまうことができました。
階段から裏階段、そして泉に入り時間の方程式をよけて
黒々しんじゅのある間へやってくることができたのです。
タカヒロは時間を富と財産に変える黒々しんじゅを手にすると
自信がでてきて気持ちも大きくなりました。
「頭がよくなるって、こんなに気持ちのいいもんなんだ」
興奮でフンフン鼻を鳴らしながら帰っていく途中、
うっかり道をふみはずし渦の中に落ちてしまったのです。
タカヒロは渦にのみこまれるとのどが渇いていないのに
水をガブガブ飲んで妊娠したみたいにお腹がふくらみます。
息もできなくなって、死ぬことを覚悟しました。
(母上さようなら今までありがとう。ネコたちもありがとう。
いっしょに遊んでくれてとても楽しかった。それじゃ…)
安らかな気持ちになると、無心になることができました。
すると、あるネコがタカヒロのそばにやってきました。
このネコは体がふつうのネコの3倍大きくてケンカが強かったのですが、
ある日タカヒロの家にやってきたときは全身キズだらけで毛もむしられ
おなかを見せてグロッキー状態だったので助けてあげたネコです。
(あ、あれ!?とうのむかしに死んだはずなのに??)
そう思った次の瞬間、ネコはタカヒロの首根っこをくわえて飛び上がると、
あっという間に渦の中をぬけだし、はじめの時計の所に戻ってきました。
(あのときの恩をおぼえていて…助けてくれたんだ…)
「タカヒロ!そこにいるのか返事をしろ!!!」
すぐ近くからおじさんの声がしました。
「おじさん!いわれたとおり黒々しんじゅを持ってきたよ。
さぁ、ネコの口に手をいれてボクを引っぱり上げてよ」
タカヒロはニコニコしながらネコの口を見上げました。
ところが、魔法使いは
「いやまず、ポケットに入れて持ってきた黒々しんじゅをワシによこすのだ!
そうすりゃ、その分軽くなってそこから出られるぞ!!」
「おじさん!黒々しんじゅはそんなに重くないんです。
ここからネコの口までが遠いんです。
どうか手を伸ばしてください すぐにつかみますから」
しかし、ただ黒々しんじゅだけが欲しい魔法使いは
タカヒロの言葉がうっとうしくて仕方ありません。
そして、どうしても黒々しんじゅを先にわたせとゆずりません。
一方、タカヒロのほうでも黒々しんじゅはポケットに入れたけど、
奥に穴があいていて、すぐには取りだせないとゆずりません。
「1度ズボンを脱いでスッポンポンにならないとダメなんだ!
だからとにかくここから出してよ、おじさん」
しかし、おじさんもかなりの頑固者、早く出せと一歩も譲りません。
とうとう、魔法使いはタカヒロが黒々しんじゅを渡すつもりがないとみて、
もうだめだとあきらめてしまいました。