(あと30日しかない…ミア姫さまを見つけることができなかったら母上も国中のネコもボクのために殺されてしまう。いそがないと!何とかしないと!!) タカヒロはミア姫の居場所がつかめないまま、国の外に出ることを決意します。 そして残り10日をきったとき、何もない砂漠に出のです。
(ここは…!?)
砂漠の中に足をふみいれた時、風のように何かが心にそっと触れたのでした。
希望を失い絶望しながらも気力だけで砂漠をさまよい歩いているうちに、とある川のほとりに出ます。 (もうミア姫は、この世にいないのでは…) タカヒロはもう一歩も歩けないほど、自分の能力への疑いや心の迷いでいっぱいでした。 生きることがとてつもなくむなしくなって、死にたい気持ちでした。
水の中にとびこんでしまおうと、頭から川の中に入ったとき(…ボクは自分のためには死ねるのか!?…これはあまりに身勝手すぎる…そうだ!どうせ死ぬのなら、母上のためそしてネコのみんなのため何よりミア姫のために最後までがんばってから死のう…ボクにできる精一杯のことをやってみよう!) いろいろな人の助けのおかげで今の自分があると思うと、ふしぎな力が湧いてくるのでした。
それから4日間というものタカヒロはろくろく眠りもせずひたすら砂漠の中を歩き続けました。 そしてその日の夕暮れのことです。 タカヒロは川の流れにしたがって歩いていくと、やがてたくさんの木々がはえ緑豊かなオアシスを見つけて、これまでのつかれがいっぺんに吹き飛んでしまいました。
小躍りして喜び走りながら近づいてゆくと、なんとそこには大きな御殿がそびえるように建っていたのです。 オアシスにそびえる御殿に近づくとそれまでの疲れが一気に出て、すぐそばの木の下に身を横たえてぐっすり眠ってしまいました。