ミア姫が話しおわると、タカヒロはぽつりとたずねました。 「魔王使いは姫君のことをどうするつもりだったんだろう?…姫さまはご自身が思われているよりも100倍いや1000倍も魅力的ですから…その~…魔王使いも一応男ですから…そ、そのことが気になって…」
「あの人は毎日わたしの所にやってきて、なぜか私の血を取ろうとしますの…タカヒロのことを忘れ自分の恋人になってほしい、そう耳元でささやいて毎日わたしの耳たぶから数滴ずつ血を取っていきます」 ミア姫はさらにつづけます。
「また、父である王がタカヒロの首をはねたとか、タカヒロは貧しい生まれだとか、俺のおかげであいつは運命がひらけたとか言っておりました。わたしはタカヒロがそうであっても全然気にしないことをあの人は知らなかったので、大げさにショックを受けて泣いてみせました。
すると、大そう満足して鼻の穴を膨らませました。それからはわたしをなだめたりすかしたりしてくれたのですが、こちらは父とあなたが無事でいるのかそればかりが気がかかりで、ただ黙っているか泣いているかです」 タカヒロは突然胸騒ぎがして、心臓からもドクンドクンと大きな音がハッキリ聞こえてきたのです。