「フッフッフ…もうすぐだ。この調子で掘りすすめればあと5分で底に手がとどくぞ!」 大量の光の粒子が砂漠のまわりにかきだされてゆきます。 特別な力もそして最愛の人も失ったタカヒロは、魔王使いがかきだす砂やドロとともに埋もれていくしかありません。 光がまったく届かない真っ暗闇の中で、
タカヒロは孤独でした。 (けっきょく、どんなにがんばっても何もかも失う…すべて無駄だ…いつかみんな死んで消えてゆく…) タカヒロの心は折れ、何も信じられない冷たく固い心になって死んでしまいました。
魔王使いはいよいよ気力体力充実し、どんどん掘りすすめついに一番下にある層に手がとどきます。 光の粒子が放つ輝きは目がくらむほどでした。 「この1粒1粒がまるで宝石だ…こんなすばらしいものが大地の一番奥深くに眠っていたとは…」
魔王使いは両手ですくいあげると、指の先間からこぼれ落ちる光の粒子をうっとりながめます。 「まちがいない、ラストマスターキーはここにある!!!」 手つきが慎重になり化石を掘り出すようにひとかきひとかきゆっくり、いよいよ最後のキーが手に入ることを確信します。
ミア姫とタカヒロがいた御殿はすっかり砂に埋もれてしまいました。 部屋のカベとカベが重なるすき間にタカヒロははさまれ、そこに残った空気もどんどん減って息が苦しくなってきます。 「泣いているの…タカヒロ…」 すぐそばからミア姫の声が聞こえてきて、タカヒロはハッとします。