第101話 消え去る希望

弦が切れ竪琴のメロディーがやむと同時に、空気がとまり風が吹かなくなりました。そして次に、水の流れが完全にとまったのです。 世界をうごかすプログラムが徐々に停止し、音がしない不気味な静けさが世界中に広がります。 世界の終わりが近づいていることを人びとは本能で感じているようでした。

全ての流れが止まり崩壊へのカウントダウンに入り、人々は慌てます。 さらには、世界をリセットするため、天空から大量の水が一気に流れ込んできたのです。

何としてでも助かろうとする人びとを大波が容赦なくおそい、深い水の底に引きずりこんでいきます。 もがいてももがいても上から水がどんどん流れ込み、水の底にたくさん人が飲み込まれてゆきました。

「ちっ、さすがラストマスターキーだけあって、弦を切ってもメロディーの余韻ですぐにゼロ状態になるわけではないのか… 完全にリセットされるのにもうしばらく時間がかかる。  しかし、そうだな…あと5分もすれば

あと5分もすればこの世界はまっさらな状態となり、俺が奏でる絶望と恐怖のメロディーから産声をあげ新しいスタートをきることになる」 塩水と泥で目をふさがれていたタカヒロがようやく目をあけると、地平線まで続く壮大なオーロラがいくえにも重なり揺れていました。

タイトルとURLをコピーしました