第102話 禁忌の呪術

たくさんのオーロラは、世界の崩壊で亡くなった多くの人たちの魂でした。 タカヒロオーロラを見あげて立ち上がります。 「5分…?」 「そうだ…5分後に俺以外のすべてのものは完全に消えてなくなる。何も無いゼロ状態になるのだ。喜べ!フッハッハッハ」

「…5分もあれば何とかなる…お前とお前のそのゆがんだ野望をうち砕いて、ミアに託されたとおり、この世界をこのまま先へ進める!」 「残念だったな…俺にはまだ披露していないとっておきの呪術が1つ残されている。命とひきかえなんでお前なんぞに使いたくなかったが、仕方あるまい…」

世界が終われば自らが次世界の創造主になる。そうすれば、いくらでも寿命を伸ばせる。全てをかけることを決めた魔王使いは、自らの寿命を大幅に削る禁忌の呪術を使うことにしたのです。 「俺の理想世界はもうそこまで来ている。ハッハッハ…残りの寿命をつかっておまえを恐怖と絶望のどん底にたたき落としてやる!

生まれてこなければよかったと後悔しながら死ね!!」 魔王使いは砂漠に巨大な手をかざし、不気味な呪文を唱えはじめました。 すると、引力に逆らい大量の砂が宙に浮かびあがります。そして、魔王使いの体のまわりに渦のようにとりまいたかと思うと、あの世とこの世をつなぐ巨大なブラックホールがあらわれたのです。

「ハァ…ハァ…ハァ…俺の残りの寿命をわずかだけ残して全て捧げる。この俺をここまで導きたもうた悪魔の力よ、今ここに最強最悪の死神をよびよせたまえ!!!」 魔王使いの叫びが波紋のように大地と海そして空に一気に広がると、地底からおぞましい声とともに死神があらわれたのです。

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