「これが何だかわかるか?生と死を司る神だ。あの世においては魂の管理者とされ、古くから死を司る存在として恐れられてきた。死神にとりつかれ逃れられたものは一人もいない。俺の寿命とひきかえに呼びだしてやったのだ。お前を倒すためにな…覚悟しろ、タカヒロ!!」 死神の目は洞窟のように暗く、死の予感しかしないものでした。
「タカヒロ!早く魔王使いを倒しなさい、でないと手遅れになるわ!」 耳元でなつかしい声がしたかと思うと、それは死んで魂となった養母でした。 養母は城からタカヒロがいなくなったことで、自ら貧しいあばら家に戻っていたのですが、水に飲み込まれるときに心臓発作をおこし亡くなっていたのです。
あの世に召される途中、タカヒロに別れを告げるためにやって来たのですが、魔王使いとの闘いを見守っていてたまらなくなって声をかけてきたのです。 「タカヒロ…!? あれ、わたしの声が聞こえていないのかしら…」 「………」 「タカヒロー!!聞こえていたら返事をしてちょうだい!」
「聞こえてます、母上…」 「あれ…ま…」 ミア姫を探すためお城から出てから1か月ほどしかたっていないのに、タカヒロは顔つきから声のトーンまで別人のようでした。 「もう時間はないんじゃないの?どうしてグズグズしているのよ!?」