第113話 追いつめられる

砂漠の中央が裂けたとおもったら、その底に黒い渦があらわれ竪琴が埋められていた大地を飲みこみはじめます。 タカヒロはあわてて竪琴を地中から引き抜き外に出すと、黒い渦をよけて脱出しようとしました。でも、竪琴をもとに戻すことは完全にできなくなってしまいます。

「そ…そんな 一生懸命ここまでがんばったのに…!どうして……」 養母の魂は絶望で震えていました。 あの世もこの世も何もかもがひっくり返り、無秩序の大混乱がどんどん加速してゆきます。 「もうダメだ…ミアとの約束をはたせなかった…何もかも消えてしまう…ちくしょうおおおーーー!!!」

タカヒロは竪琴をかかえ黒い渦と渦のあいだをよけながら崩れゆく大地をとびまわります。 400年つづいたミアの国も粉々に砕け散り、バラバラになって渦の中に飲まれていきます。 王家の象徴であったお城もかたむき、沈没船のようにわれた大地に沈んでいくのでした。

「あぁぁーーー!見てられないわ……」 養母はあの世に来る途中ではぐれたネコがようやくやってきたのをぎゅっと抱きしめました。 「ニャー……」 ネコもあの世からタカヒロにがんばれ!と呼びかけます。 しかし、タカヒロのいる世界は完全に消滅のときをむかえていました。

タカヒロは叫びました。 「ミアごめん…君を守れなかったし君との約束も果たせなかった…この世界を守ると誓ったのに守れなかった………ちくしょうーーー!」 (……あきらめないで!…) 「!?」 あたりを見渡しても誰もいません。声はタカヒロの心の中からでした。

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