第118話 スクラップアンドビルド

声はしなくても自分の中にミアがいるからボクは今こうしてこういう気持ちになれたんだ。そう…君はいつの間にかボクの心にいたんだね…」 そのとき、タカヒロの心とミアの心がシンクロしてまったく新しいメロディーが生まれたのです。

そのメロディーは悲しみにうちひしがれた者にはなぐさめを、心砕かれ恐怖にふるえる者には勇気を、見捨てられ弱った者にはあたたかなメッセージと励ましをあたえ、ふたたび立ち上がらせる再生と復活のプログラムを組みこんだ新しい協奏曲でした。

この新たに生まれたメロディーに黄金の竪琴が共鳴し弦がふるえだすと、はじめて竪琴は古いメロディーをぬぎすて新たなメロディーに染まっていきました。 サナギから蝶になったように新しいメロディーは、新たな世界の可能性を模索して跳ねまわりそして世界中を飛びまわります。

これにより黒い渦の流れがやみ、逆に吸い込みそして飲み込んだものを次々に吐き出すのでした。 飲み込まれた草や木、動物そして人間。山や川大地も空もふたたび世界に戻ってきました。 消えてしまった魂ももとに戻り、天国はもちろん地獄でも驚きの声があがります。

一度バラバラに解体されてしまった世界は山の下に雲があったり、川が下から上に流れていたり、平野が裏がえって中からはるか昔の地底人や巨竜などの生物がでてきたりと時間と空間がすっちゃかめっちゃか状態でした。 これではとても今までのように人々が安心して暮らせません。

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