あなたは今の古い世界とは異なる、まったく新しい世界を創る責任があります。その責任から逃れることはできません。後ろを振りかえってはなりません。しっかり前をみつめてください!」 そういうとネコはタカヒロに誓約書をわたし、新しい世界を創るサインを求めました。
「ここにあなた様のお名前をかいてください。そうすれば同意あったとし、あとはあなた様の理想世界のイメージにもっともかなう時間を作ってもってまいります。時をセットすればいよいよ新しい世界は動きはじめます。お手はわずらわせません。あなた様はただその一部始終を見守るだけでいいのです」
「悪いが…サインはできない…断る。今の世界のままでいい…」 「サインをしないままですと、新しい世界は動きだしません。その場合、元のプログラムが作動し黒い渦がすべてを飲み込んで無になってしまいます。躊躇している時間はもうありません。さぁ早くここにサインを!」 「わ…わかった…」
タカヒロがおそるおそるペンをとると、時ネコは後ろを向いて背中をかしました。 「…ミア…すまない…」 タカヒロは震える手で自分の名前を書きましたが、最後の一文字をどうしても書くことができません。手が動かないのです。 時ネコはふりかえりタカヒロをいぶかしげに見つめていました。
「どうしたわけかあれだけ過酷な試練を乗り越えられ創造主になられたというのに、あなた様にはその勇気と覚悟が足りないようです。安全のため、あなたの命を代償として、あなたが生まれる前まで時間を戻すことが義務付けられております。悪く思わないでください」