タカヒロと養母の暮らしが傾くなかでもわずかですが、
ほんのりと明るい兆しが見えてきました。
仮想世界に入って心眼をひらいたことでタカヒロは、
あの世にいる幽霊や少し先の未来のことなど
人には見えないものが見えるようになったのです。
そのことでネコ好きのタカヒロのもとに
「ネコを探してほしい」という依頼が舞い込むように…
ネコ好きのタカヒロに相談すると、
いくら探しても見つからなかったネコがすぐに見つかるのですから
それが大きな評判となりました。
噂を聞きつけた多くの人がタカヒロのもとにおしよせるようになり、
次第にはるばる遠い所からもネコを探している人がやってくるように…
こうしてタカヒロはネコを探している人を助けては、
わずかばかりの謝礼を受け取るようになりました。
そして、わずかな蓄えもできるようになり、
ようやくその日暮らしの生活から抜け出せたのです。
ところが、ネコの探しの仕事が評判になると
今度はタカヒロの能力を見込んでヤクザたちがやってくるようになりました。
「お前、いなくなったネコを不思議な能力で見つけるらしいな!
だったら…今度のメガ・ワンダフル宝くじの当選番号なんだけど…
教えてくれたらうんと謝礼をはずむぜ」
タカヒロは心眼を使って宝くじの当選番号を調べてみましたが、
どうしたわけか22222……という数字がイメージに浮かぶだけでした。
それをそのまま伝えると次の日にヤクザの手下が数人あらわれて、
タカヒロの頭にたんこぶを山のようにこしらえて、
そのまま養母とペットのネコをどこかへ連れて行きました。
「お前の母親とネコを返してほしければ、
翌週のギガ・ワンダフル宝くじの当選番号を教えろ!
いいか!この前のようにウソの番号を教えてみろ!
お前の大切なマザーとネコをミンチにしてやるっ!いいな…」
タカヒロはきゅうりのように青くなって、
大好きな野良ネコたちにさえ「うわーっ!」と逃げられるほどでした。
「ど…どうしたらいいんだろう…?
期日は明日だというのに…な…何にも浮かばない…
このままだと母上とネコが殺されちゃう…もう時間がない!」