期日がせまる中、タカヒロは重い体を引きずり、
黒々しんじゅを飲み込んだ豚が元気にしているか様子を見に来ていました。
「元気でいいなぁ…
ボクはここんとこ眠れないし何も食べれなくて死にそうだよ…ハァ~」
元気で食欲旺盛な豚たちをしり目に
ため息をついても宝くじの当選番号が何番なのか、
浮かんでこないのですから胃が痛くて仕方ありません。
(このままじゃ母上とネコはひき肉にされてしまう…どうしよう?)
養母とネコが無事でいるか、そればかりが気がかりでした。
ふと豚をながめていたタカヒロは、黒々しんじゅに頼ることを思いつきます。
「…そ、そうか!!あのネコに聞いてみよう…」
口に手を入れて、お腹の中から黒々しんじゅを取り出すと、
布でキレイにこすりました。
すると、ネコの怪物君再び姿をあらわしたのです。
「飼い主さん…いつも宝石を気にかけてくれてうれしいニャ…
ニャ~はその宝石の持ち主のいいなりニャン…ニャンなりと御用を」
「母上とネコが悪い奴に捕まっている!
今日のギガ・ワンダフル宝くじの当選番号を教えて!お願い…」
祈るような気持ちでタカヒロがこう言いつけるとネコの怪物君は
豚小屋の黒い影の中にゴロンと寝そべり、
しっぽをユラユラゆらして何か深く考え込みはじめました。
すると突然しっぽが、レバーのように下にふれ、
2つの目玉がスロットのように回転をはじめたのです。
2つの目玉はそれぞれ4,3の番号で止まるとまた回転して
3と1で止まりまた回転して9と5の数字でとまりました。
6桁の番号「433195」という数字がしるされたレシートが
ネコの口から出てきて、ネコの怪物君はそれをタカヒロにわたすと、
溶けるように影の中に消えていったのです。
翌朝、養母とネコは元気な姿で無事帰ってきました。
「…ボクのせいで…ごめん…」
「…いいんだよ…みんな無事で助かったんだから…ネコもこの通り元気さ。
それより何だいお前ずいぶん瘦せて…まるでガリガリ君じゃないか!?」
「ハハハハハ…母上にはかなわないや…」
2人と1匹はテーブルに座ると、久しぶりにごちそうをたらふく食べました。
食べ終わるとタカヒロは、養母とネコが寝るのを待って
黒々しんじゅを持ってこっそり家を抜け出します。