黒々しんじゅをポケットにつっこみ、
豚のお腹の中に戻そうと暗い夜道を一人牧場へ向かっていると、
「ガルルルル………」
町の中では聞いたこともない不気味な音が藪の中から聞こえてきました。
あわてたタカヒロは一目散に走りだします。
ところが、野獣に大事な牛や豚がおそわれるのをおそれてか
牧場の門は固く閉じてびくともしません。
自分が場違いな所にきたと気づくと、冷や汗が噴きだしてきます。
オロオロしながら、裏口にまわろうと草むらに足をふみいれた時でした。
後ろから突然、
「オイ、宝くじの当選番号を漏らしたタカヒロというのはお前か?
この道をよく通ると聞いて待っていたんだ。こっちへ来い!」
草の中からガサゴソ音がすると、
タカヒロと同じ年くらいの1人の少年が姿をあらわしました。
「今度の宝くじでイカサマが行われたとタレコミがあってな…
宝くじを運営するマフィアが当選者を捕まえていろいろ調べてみたら…
タカヒロ、おめーの名前が出てきたってわけ。
どうやって当選番号を知ったのか?ボスがとても興味をもってね…
知りたいんだってさ、それでお前を迎えに来たってわけよ…」
少年は近くに止めていた黒い高級車にタカヒロを乗せると、
運転手からお金をもらってすぐにいなくなりました。
タカヒロは大きな男たちに目隠しをされ
30分ほどでとあるカジノの巨大地下室に連れていかれました。
しばらくするとそこに、
マフィアのボスらしいサングラスをかけた大男が入ってきたのです。