「貴様か…今度の宝くじでイカサマをしたタカヒロというのは…
お前のせいで俺たちのもっとも大事なビジネスに傷がついた!
よくもやってくれたな…」
大男はサングラスをとると、怒りのこもった目でタカヒロをにらみます。
その目は背筋が一瞬で冷たくなるほどの迫力があり、
タカヒロは「たぶんボクここで死ぬ…」と心の中でつぶやきました。
「お前を消す前にいくつか確認しておきたい…」
緊張のあまり顔がこわばったタカヒロは口をパクパクさせるだけで、
ボスからの質問に何も答えることができません。
「…ふざけるなよ…」
ボスはタカヒロのお腹をおもいっきり蹴とばしました。
丸太のように大きな足が当たると、胸が圧迫されて呼吸が止まり
そのまま吹きとばされ後ろの壁に叩きつけられます。
「…う……うっ………ぐ…」
「どうやって当選番号を知ったんだ?正直に言え!
さもないとお前はもちろん、キサマの大事な養母も
誰か分からないように顔をグシャグシャにされて死ぬことになる…」
タカヒロはうめき声をあげながらボスを見上げました。
カジノの巨大な地下室は、まるでトンネルのように広く長いものでした。
売上金や金銀財宝をいれるためのいくつも部屋がありましたが、
どの部屋も札束はおろかコインさえなく、すっからかんでした。
「先日、イカサマがおこなわれたせいで、
仲間からのそして大切なお客からの信用を完全に失った。
宝くじはおろかカジノにさえお客が入らなくなってしまったのだ。
いずれ資金も底をつき、このカジノも他のマフィアに乗っ取られる。
何もかもパーだ…すべてタカヒロ、お前のせいだ!!」