タカヒロはまたもおなかを丸太のような大きな足で
おもいっきり蹴り上げられ、あまりの痛みで気が遠くなります。
「この世界は生きるか死ぬかだ。あいまいなものはない。
俺の質問に答えるか?答えないで死ぬか? どっちだ…」
トンネルのような地下室は不気味なほど静かで、
呼吸をする音がハッキリ聞こえるほどでした。
「当選番号を教えたのはお前で間違いないな?どうだ?」
「そうです……ボクです……」
そう正直に答えた瞬間、閃光がはしりタカヒロは気を失いました。
水をぶっかけられ気が付くと、鼻から血が出て止まりません。
顔の左半分がなくなったように感覚がありません。
あわてて顔に手を伸ばすと、その手をつかまれ、
「…どうやって当選番号を知った?その方法を言えっ!!
さもないとお前だけじゃすまない、お前の養母も命を失うことになる…」
「…わ…わかりました…言います。その代わりもうボクたちには
もう手を出さないと約束してください…お願いです」
タカヒロはボスにことわってズボンの中に手を入れると
中から黒々しんじゅをとりだしました。
そしてそのままズボンにあてて軽くこすります。
すると、あたりに煙がたちこめ中から
見たこともなネコの化け物がとび出てきました。
「ぐわーーー!!」
これにはさすがのマフィアのボスもあわてふためき腰を抜かします。
部下に両脇をかかえあげられなんとか立ち上がると、
地下室から逃げだそうと猛烈な勢いで階段を駆けあがります。
「た、助けてくれ!誰かーーー!!!」
タカヒロはネコの怪物君にたのんで
すぐにマフィアのボスを連れ戻させます。
「あ、あの…どうしたんですか??」
「ゆ、許してください!お願いです。
もうこのようなことは2度としませんから!!」
「教えろっていうから教えてあげるんです。
あなたって人は…… まったくおかしな人だなぁ…」
タカヒロはボスの手に黒々しんじゅを握らせると
ネコの怪物君に何でもいいからお願いするように頼みました。
ボスはしばらく考え込んでいる様子でしたが
やがて思いついたように、別のマフィアが運営する
競馬の当選馬券を教えるよう命じたのです。
「おもしろい…試しに次のレース、どの馬が勝つか当ててみろ!
まぐれでも当てたらタカヒロ、お前と養母の命は助けてやろう」
すると、予想が見事に的中!
それからというものボスは部下も動員し手当たり次第に馬券を買いあさり、
次々に勝ち馬を的中させると、たった数時間で億万長者になったのでした。