黒々しんじゅが戻ってきたタカヒロでしたが、
新しい夢ができていたので、それには目もくれず
牧場の豚にあずけると、一目散に町にかけだします。
「まずい!また遅刻だ…ネコのようにスヤスヤ2度寝してしまった。
コン(頭をたたく) お客さんまだ来てなきゃいいけど…急げ!!」
ネコ探しの仕事は誤解をまねき
危ない人たちからも目をつけられるので
スッパリ辞めることにしたのです。
そして、どうせ仕事するならと
新たに始めたのがネコのケガや病気を治す仕事でした。
資金はネコ探しで貯めたわずかなたくわえからひねりだし、
タカヒロは人が変わったように新しい仕事に打ち込むのでした。
天職だったのかネコの病院をじめてから、
タカヒロはみるみる自信をつけていきます。
ふしぎなことに自信がつくと、昔のなまけぐせもなくなり、
人が変わったように仕事熱心な若者となって、
町の人からの信用をえるようになりました。
ところが、ある日のことです。
時間ギリギリにやってきたタカヒロが
いつものように小屋で仕事の準備をしていると、
町の大通りからブルンブルンと暴走族集団の
バイクの大きな排気音がこだましてきます。
タカヒロが店をでてみると、
黒塗りの高級リムジンがたくさんのバイクにとりかこまれ、
ブルンブルンとあおられていたのです。
「乗っているのはわかってんだーーー!
顔出せっ!さもないとこうだ!」
そう叫ぶと暴走族たちは手にショットガンを握りしめ
リムジンに向かって思いっきりぶっ放すのでした。
リムジンは急いで交差点を曲がろうとしたものの、
道を歩いていた野良ネコの1匹をはねとばし、
そのままゴリゴリと前輪と後輪でひいてしまったのです。
急ブレーキをかけたリムジンからたいへん美しい女性が出てくると、
暴走族たちはそれをスマホでとりへらへら笑うと走り去ってゆきました。
「姫様、族どもが戻ってくるかもしれません。危険ですから早くお車に!」
「そんなことより早く救急車を!
ネコちゃん…大丈夫よ安心してね…死ぬにはまだ早すぎます…(涙)」
姫様と呼ばれた女性は冷静でしたが取り乱してもいました。
なぜならネコは2度も車にひかれたせいで、
2次元のようにきれいにペシャンコになっていたからです。